​住まいづくりコラム#21「軒の無い家」

軒とは、外壁面より外側に出た屋根下部分のことを言います。

軒の役割機能としては、外壁面を直射日光や雨風から保護することが大きいです。

昔の家では、外壁が木の板張りや土壁、漆喰などといった自然素材が多く用いられており、それらは太陽光や風雨に対して耐久性があまり良くないため、屋根の軒を出したり、庇を付けたりして外壁面を守っていました。

もちろん、現在でも軒を出している住宅を多く見受けられていますが、その一方で軒の出が全くない住宅も見受けられるようになりました。

その多くが陸屋根の鉄筋コンクリート造や鉄骨造ですが、木造もあります。

私どもの設計事務所も軒のない住宅の設計監理をおこなっていますが、その理由は大きく三つあります。

ひとつは、敷地状況です。

これは特に都市部について言えることなのですが、敷地面積が狭いうえ敷地境界までの距離も少なく、機能を果たすだけの十分な軒の出を確保出来ない点が挙げられます。

直射日光や風雨を避けるためには、60センチ程度の軒を出す必要があります。

二つ目は、耐久性能がある外壁材が開発されるようになったことです。

この点も都市部の住宅事情と関係しているのですが、住宅が密集する都市部では、防火上の観点から外壁に不燃材を用いらねばならず、不燃材は耐久性も合わせ持っている建材が多いのです。

窯業系サイディングをはじめガルバリウム鋼板といった乾式工法の建材だけではなく、モルタル下地による湿式工法でも高耐久の仕上げ材が数多く存在します。

三つ目は、デザイン(意匠)です。

昔の家は平屋が多く、二階建てでも高さが抑えられていて軒が低いため、軒を十分出しても外観は美しいです。

これに対して、現代の都市部の住宅は、高さのある二階建てが多く、敷地状況から間口が狭い三階建ても多いため、軒を大きく出したデザインはあまり適さないような気がします。

しかし、京都市のように軒や庇、屋根形状などについて条例で細かく決められている都市もあり、統一感のある美しい街並みを守る上では、軒は建築にとって大切な部分です。

したがって、大都市における住宅密集地では、軒を出さない代わりに開口部の上に庇を出したりすることでデザイン対応しています。

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