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三浦尚人建築設計工房
住まいづくりコラム#16「うなぎの寝床の間取り」
ご存知の人も多いと思いますが、<うなぎの寝床>というのは間口が狭くて奥行きが長い土地のことを言います。
京町家などが有名ですが、その昔豊臣秀吉の時代には間口の長さで税金が決まっていたため、このような土地割りが多くなったそうです。
現在も、東京23区、大阪市、名古屋市、京都市などの都市では、比較的大きな土地を短冊状に分割して間口に対して奥行きが長いうなぎの寝床と呼ばれる土地が増えている状況です。
こういう土地で住宅を設計する場合、重要なことは「採光と通風の確保をどうするか?」です。
土地の形状から、間口に対して居室を横に並べるような間取り(プラン)は難しく、奥行きに対して居室を縦に配置するような間取り(プラン)になりますが、奥行き方向(長手方向)の壁面に開口部を設けても両隣の家が接近しているため、採光は特に期待出来ません。
ではどうすればうなぎの寝床の土地で採光と通風を確保出来るかというと、横からではなく上部から光と風を取り込む方法で、大きく分けて2つあります。
一つ目は、間取りに採光と通風を確保するための坪庭(外部空間)を設けることです。
坪庭は京町家でよく見られ、これはいわゆる光の井戸というものです。
坪庭は外部から覗かれる心配もないため、大きな開口部を設けることが出来ると同時に複数の居室が坪庭に面することが可能となり、ここから採光と通風を確保します。
また、この坪庭を介して住まいの奥行きをより実感出来ます。
もう一つは、居室の天井高さに変化を持たせて(あるいは床レベルに変化を与えるスキップフロアで)、その高さの違いを利用してハイサイドライト(高窓)を設け、そこから採光と通風を確保する手法です。
これにより、唯一開けていて採光の確保が容易な道路側から離れた奥に配した居室空間にも上部に設けた開口部から光が射し込み、風が通り抜けます。
いずれにしても、うなぎの寝床のような間口が狭くて奥行きのある土地に住宅を計画する場合、2階に長い時間過ごす家族団欒スペース(LDK)を配置するのが良いと思いますが、1階に家族団欒スペースを配置する場合には、坪庭や吹き抜けを設けたプランにして上部から採光と通風を確保することが賢明でしょう。